バラの見頃を前に~アリウム・ギガンチウムやクレマチスの魅力を再発見

緑が日に日に濃くなり、日々開花していく植物の種類の多さや、その奥深い組み合わせなどを見るにつけ、22年の年月とともに成長してきたガーデンの底力を感じます。定期的に降る雨と、昼の温かい太陽光線、春先にまいた有機肥料などが植物に目を見張るような活力を与えてくれています。

来園者の皆様にお話を聞くと、この時期もっとも魅了されるのが、アリウム・ギガンチウムのようです。「ネギ坊主」のように見えるのは、偶然ではなく、ネギやチャイブと同じネギ科だからです。ユーモラスな紫の球が風にそよぐ姿は五線譜を構成する音符のようでもあり、リズム感と立体感を与えてくれます。

クレマチス・モンタナがおおうレンガのウォールガーデンの一角の景色です。

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ハーブガーデンは、アリウムの性質上、もっともしっくりくる感じがします。

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ラバーナム(キングサリ)のアーチの両脇にも植えられています。ラバーナムの黄色とアリウムの紫は補色の関係にあるため、美しいコントラストが生まれます。

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アリウムのボールは、小さな花が集まってできています。仕事熱心なミツバチが元気満々な様子に無我夢中にシャッターを押してしまいました。

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オランジェリーの前の小道から背を伸ばしてみると、次のような景色が楽しめます。アリウムがまるでホスタ(ギボウシ)の花のように見える演出はケイ山田ならではのもの。ベルベリス(メギ)の赤紫の葉の色が景色にアクセントを与えています。アーチやトンネルを覆うつるバラが、空に向かって無数に房状のつぼみを伸ばしている姿に生命力を感じます。

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オランジェリーの入り口から見下ろすと、手前の花壇に加え、アーチとトンネルの下に広がる二つの景色が同時に楽しめます。

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庭のバラは、一部の原種で早咲きのものが見ごろを迎えています。

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ハマナスの系統の「ロザリー・デルヘイ(ロザリー・ドゥ・ライ)」や近縁種がようやく開花し始めました(写真:明日開花すると思われるつぼみ。ガーデンセンター脇の約20mの生垣から)。オレンジのハニーサックルのつぼみも数えきれないほどついています。

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バラのトンネルや、ガゼボなどに多用されている、つるバラ「ポールズ・ヒマラヤンムスク」のつぼみも順調です。天候次第ですが、あと1週間から10日間で咲き始めることでしょう。

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隠れた主役は、シンボルツリーの黄金アカシア。「黄金色」(園芸の世界では、オーレア=ライムイエローをゴールデンと呼びます。決して秋の紅葉で葉が黄色になることを指してはいません)の新芽が青空に美しく映えます。

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ドームの天蓋まで伸びるクレマチス・モンタナもおととしほどの勢いはありませんが、美しい景色を作り出しています。早咲きのオールドローズ「カナリーバード」も満開です。

連日たくさんのお問い合わせのお電話を頂戴しておりますが、初めての方にお伝えしたいのは、バラクラは、「バラ園」ではないということです。’(「バラクラ」の「バラ」からバラ園だと思われる方が多いのですが、バラクラの名前は、ケイ山田のブランド「バラ色の暮し」を短くした愛称の「バラクラ」からきているのです。)

植栽されている5000種類の植物のうち、バラはたった200種類ほど。バラだけでなく、木々や宿根草、一年草、球根植物、さらにはつる性から多肉、水生植物まで、様々な植物を組み合わせています。バラ園とは異なり、英国庭園では、春から冬まで、週ごとに多種多様な植物が咲き継いでいきます。四季移り変わっていく景色をご自分の目で楽しんで頂けたら何よりです(年に2回以上お越しの場合、お得な年間パスポートをお勧めいたします)。

春のタぺストリー、秋のダリアガーデン、冬の凍てつく庭… バラのガーデンとはまた違った美しさがここにはあります。皆さんにとってより身近な庭となり、英国人の楽しみ方と同様に、四季を通じてお越し頂けるよう様々に努力してまいります。皆様のご来園を心よりお待ち申し上げます。

(広報 山本 達)