ヴァリエガータ・ディ・ボローニャやポールズ・ヒマラヤン・ムスクが咲き始めました
今日は時折小雨が降る中、たくさんの方が来場し、お庭の散策を楽しんでいらっしゃいます。無料のトークショーや寄せ植え講座、マーケットでのお買い物や英国のフードなど、楽しみ方は様々です。
池を囲うように建てられた石壁を覆う「ランブリング・レクター」が徐々に見頃となってきました。かの有名なシェイクスピアの戯曲にもたびたび名前が出ることから、イギリスでは別名「シェイクスピアズ・ムスク」と呼ばれ、その香りや八重咲きで房状に咲く美しい姿とその強健さのため、400年以上前から愛されてきました。
昨日あたりから、カフェテラスの石階段の左手にあるオベリスクのバラ、「ヴァリエガータ・ディ・ボローニャ」が開花し始めました。クリーミーホワイトの地に、紫色のストライプがはっきりと入った模様は、ひとつひとつが芸術作品の様。
実は、このバラから突然変異種としてこのバラクラで生まれたバラがあります。名前は「ミセス・ヤマダ」。発見したのは、「バラの神様」として世界中のオールドローズファンより敬愛されるピーター・ビールス氏。
2003年のフラワーショーで氏が来日されていたときに、偶然発見されました。 ピーター氏のご厚意でケイ山田の亡き母にささげられたバラは、その後、英国王立バラ協会で鑑定され正式に新種として認定され、今ではバラクラのプランツセンターや海外でも販売されています。
あと数日で「ミセス・ヤマダ」も開花すると思われます。機会を改めてご紹介いたします。
ブルーガーデンの付近に植えられたルゴサの「F.J.グルーテンドースト」。花の先端がフリル状になっています。深紅の小輪で房咲き。大変丈夫で人気の品種です。ブルーガーデンとの対比も印象的です。
庭園をぐるっとまわっていくと、ピンクのつるバラに覆われた小さな木製のガゼボ(東屋)があります。ここは、見ごろになると行列ができるほどの人気スポットで、みなさん記念撮影を楽しまれます。今日現在で、3分咲きといったところでしょうか。
気温が暖かい日には、1時間おきに10~20房ずつ開花していくので、来た時と帰る時の見え方の違いをお楽しみください。
ここで皆様に、植物の生命力の強さを実感いただきたいと思います。参考までに2か月前の様子をお見せいたします。植物に人々が強く魅了される理由のひとつが、このバイタリティではないでしょうか(人間も四季とともにこれぐらい変化があったら面白いですね)。植物も人もやはり元気でいることが一番ですよね。
今日はバラ以外で、いま見ごろを迎えている植物や景色も紹介いたします。
最初は、庭園奥のレストラン前の「カルミア」です。英国文化勲章受章者のトレーシー・ウィルソン女史がガーデンツアーの中で必ず紹介する低木です。酸性土を好むそうです。
近くによると開花しつつある様子が素敵です。
こちらは、庭園奥のパビリオンへと続く小道の入口手前にある「しだれエゴ」。日本に自生するエゴの木のしだれ性のものです。こちらもトレーシーさんのお気に入りで、花の咲く様子を「小さな白い釣鐘がいくつもつらなって音を奏でている様」(!)とおっしゃいます。
ヒドコートマナーのヘッドガーデナーのグリン・ジョンズさんは「この木の下から見上げると、満点の星空を見ている様」(これまた!)とおっしゃっていたのをいま思い出しました。
随所にケイ山田の愛する「ピオニー(シャクヤク)」が植えられています。長雨が続くと花が溶けてしまうのですが、晴れの日も多く、空気がある程度乾燥しているため、大変よい状態です。ゲラニウム(フウロソウ)の中でもっともポピュラーな「ジョンソン・ブルー」とのコントラストが目を引きます。
ケイ山田の庭には、英国庭園の長い歴史の中、様々な人々によって実証され、継承されてきた美しい植栽の黄金律がちりばめられています。伝統的な美しさの中に、デザイナーとしての独自の美意識や革新的なアイディアを織り交ぜて、ケイ山田は日々新しい美を作り出すことに情熱を注いでいます。
ケイ山田の庭を散策し、もしご自分の庭で使えそうなアイディアがありましたら、ぜひ挑戦してみてください。
週末に向け、日ごとにバラの開花が進んでいます。オベリスクやアーチ、ドームやガゼボ、パーゴラや壁・塀などの構造物に誘引されたバラが、美しい立体的な景色を見せてくれます。
皆様のご来園を心よりお待ち申し上げます。
(広報 山本 達)